「将来の自分」ではなく「今の自分」を大切に〜利用者さんインタビュー【K.Tさん】〜

K.Tさん

リンクサポートに最初に来た頃、Kさんはどういう状況だったのですか?

大学進学で名古屋に来て、いろいろ挑戦して無理をした結果の挫折があり、大学は9年かけて卒業しました。そのあと、大学で一年雇用してもらっていたのですが、人間関係に問題がなくても、フルタイムで働くのがしんどくて、数か月で休職していました。

何を目指せばいいのかわからなくなっていました。大学のカウンセラーさんや、お世話になった教授に相談したりしていたのですが。教授や一緒に働いていた人は、大学院に進むような自分の研究テーマを掲げて実践している人たち。もらえる提案も自分にとってはレベルが高かった。僕のことを考えてくれて、親身な意見をくださっていることは、頭ではちゃんと理解できました。でも実際には、自分には出来ませんでした。違う視点からの提案を漠然と求めていたのかもしれません。

リンクサポートでは、就職活動の前に、まず生活基盤を整える提案をしました。それはどのように感じられましたか?

確かに、と思いました。まず、自分がどうしたいかを聞いてくれて、しんどい状況ではあるけど名古屋で一人暮らしを継続したいという気持ちを聞いてくださった。それを叶えるための方法として、福祉サービスの利用や時短勤務を視野に入れる、という提案をしてくれた。一緒にやっていきましょう、と。「実家には帰らず自立を目指したい」と思っていたので、とても心強かったのを覚えています。ようやく、「今の自分のままで、自立に向かえる人生を歩めそう」という実感が湧いてきました。

時短勤務というのも、ほかの就職窓口ではフルタイムで働くことが前提のようで、「それは自分にはできないな」と立ち止まっていたので。

そもそも、フルタイムで働くとか、興味なくても仕事をするとか、そんな当たり前のことがずっとできる気がしなくて。休学と留年、合わせて大学卒業に9年かかっていたので、面接でその理由を聞かれ続けるのもしんどかったと思います。

前向きになっていく中では、これまで話をしてきた大学のカウンセラーさんのアドバイスもあったと聞きました。

そうですね。リンクサポートの担当さんと、そのカウンセラーさんに一緒に会いに行くこともありました。自分の一番しんどい時期をみてくれていた臨床心理士さんです。そこで、「他人から言われたレベル感ではなく、自分がこれなら、と思うものを信じたらいいよ」と言ってくれた。これまで、周りに合わせる、要求に応えることで精一杯だったんですよね。「役に立たないけどやってみたいこと」をやる余裕が全然なかった。

そういった「周りに合わせる」ことは、いつごろからあったと思いますか?

本当に小さい時は、好き勝手やっていたと思うんですけど、小学校中学年くらいからはけっこうナイーブな感じだったと思います。実家にいたころから、暇つぶし以外に(何かに)ハマったということはなかったです。

勉強と部活動。ずっと陸上部で中長距離をやっていました。中学の時は800メートル、高校では5000メートル。

県大会で入賞するなど成績もよかったのですよね。美術でも作品が入選して、大学でのデザインに関連した学科に進まれました。

「賞をとったら(進学の際の書類に)書けるよ」と言われて、それで目指していましたね。「今の自分が楽しいか」という価値基準がなかった。将来の役に立つかどうかでやっていたから、「今」の自分はずっとしんどかった。好きとかではなくて、目の前のことを全力でやる。根は真面目なんですね。

それも、大学に入ってから(真面目なだけでは)叶わないなと強く思うようになりました。デザインの学部だったのですが、頑張ってやっている人は、やりたくて徹夜をしてでもやっている人にはかなわない。休み時間にも絵を描く子たちもいて。自分は(入学のための)実技試験のために絵を描いて(高校の)美術の先生に添削してもらっていたという感じで、とがった子たちとは違うと感じました。

それでも、大学入ったころにバイトや部活など、いろんなことに取り組まれていたと聞きました。

自分が好きなことを見つけるために、挑戦しなければ、と思っていたんです。居酒屋のアルバイトや、大学生協でのパソコン講座の講師、部活では総合格闘技をやりました。学部でも毎月、制作物の課題が出て進捗を発表する実習があって。これらがうまくいかなかった。キャパオーバーでした。挫折です。

入学したときから、「4年後の経済的な自立」のためにすごく頑張った。今の自分をないがしろにして、心身の不調につながったのかなと思います。

今は、「今の自分」を大切にされているのですね。少しずつアルバイトや「お仕事チャレンジ」もされています。

はい。何をやったらいいのかわからないのは、判断材料となる経験が少ないからなんだ、ということが、カウンセラーさんの話や心理検査からわかったことでした。心理検査も、リンクサポートに来てから、大学の検査機関を紹介してもらって行きました。

単発のデータ入力のアルバイトとか、コーチングを受けてみる、とか、今はコワーキングスペースの閉店作業を週3日やっています。家庭教師やWebライター、占いにも興味があります。それが失敗しても、むしろ失敗できることをやるのが、自分にとってプラスになるという考え方で。

一方で、担当さんと話す中で、一歩目を踏み出すのが苦手だと気づきました。いろいろ興味があっても、慎重になる。昔からなのか、挫折してからなのかわからないけど。なので、担当さんに紹介してもらったものを中心に、安心して経験を増やしているところです。

10年以上続けている日記。気持ちや悩みの言語化に役立っているといいます

これからのことは、どのようにイメージされていますか?

申請していた障害年金が通ったので、しばらくはそれを生活資金として、未経験分野のアルバイトやボランティアをやってみるつもりです。自立するには、まずは1日3~4時間、人の役に立てるということを目標にしています。今は30分とか1時間ですが。自立して生きていけるという感覚を得たいです。

面談では、「ずっと助けられているだけではなく、できることを差し出すことで、誰かの役に立ちたい。それが自立に結びつくんだ」ということも言われていましたね。

自分では自分のことで精一杯で、立派なことを自発的にする方ではないのですが、根っこには、人助けや、人の役に立ちたいという気持ちがあるのかな。回復してきたら、自然とそういうことをしたくなるのかなとも、頭の片隅で思います。このインタビューを受けたのも、利用を考える人の役に立つかなという気持ちがありますね。

同世代の方や、働くことにつまずいている人に伝えたいことはありますか

「自力でなんとかする」というのには限界があるので、誰か大人を頼るのが大事で。「この人はちゃんと聞いてくれる」という人にたどり着くまでが一番大変ですが、探すだけの価値はあると思います。

会ってみて、最初はうまく話せなくても、信頼できる人って時間がかかっても急かさずにきいてくださると思うので、そういう人を探すのに今あるエネルギーを費やすつもりでいいかもしれません。リンクサポートだけでなく、就労支援の事業所やハローワークにも行ってみて、いくつかの中で一番自分に合う人がいればいいなと思います。

そんなエネルギーが残っていない、疲れたという人もいると思います。そういう状態のときは、食べて寝る、ゆっくりするという健康の基本を心がけるのが、かえって回復の近い道かもしれません。好きなことがあれば、それをするのもいいですし。誰かに話を聞いてもらえるならそれもいいですし、いなければ日記や紙に、思ったことをひたすら書くのも心身が楽になると思います。

今はそれで精一杯だとしても、焦らず少しずつ、自分だけのペースを見つけていけたならいいなと思います。私も、担当さんなどに相談しながら、自分らしく生きる道を模索していきます。

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