”普通”について考え続ける理由~利用者さんインタビュー【K.Rさん】

8月の土曜日。午前10時に来てくださったK.Rさん(31)さんは背筋を伸ばして健やかそうに見えました。インターネットでの動画配信や絵の販売など、「人とかかわらずにお金を稼げたら」と思い続けた3年。今もその気持ちは強いと言うものの、このブランクを経てオフィスでのシステム運用保守の仕事をフルタイムで続けています。哲学ともいえるような“普通”の考え方には、両親の離婚など過酷な子ども時代の影響が大きかったと淡々と分析してくれました。

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リンクサポートのことはどのように知ったのですか?

ホームページを拝見させていただいて、電話したという流れです。前の仕事から3年は経っていたので、一人で働き先を探すのは難しい精神状況でした。誰かに助けてほしいという気持ちが強かった。前にハローワーク経由で働いたことはあったので、ほかの手段を探していて、調べていた時にたまたま見つけました。

3年の期間はどのように過ごされていたのですか?

人とかかわらずにお金を稼ぐ方法を考えて、Youtubeに動画を投稿したり、雑談を配信したりしましたけど、あんまり自分には向いていないなと思ったのですぐやめました。絵も、配色やデザインを学んだりして、インターネットで絵を売れたらという考えがあったのですが、やっぱり難しかったですね。

人とかかわりたくないという気持ちは昔から?

小学生の低学年のころは、毎日友達と遊んだり、楽しく過ごしていたと思うのですが、小学5年のとき、11歳くらいですかね。両親の離婚がそのころで、それまでに生活環境が悪化していて。家庭環境があんまりよくないと自覚し始めて、「ほかの人とかかわってもあんまり意味ないんじゃないか」と思い始めました。学校に行かなくなったりもして。そのころから人とかかわりたくないと思うようになりました。

高校も中退して、いったん親元から離れたい気持ちが強くて一人暮らしもしました。新聞配達をして3年。最後はうまくいかなくて。自分に自信を持ちたいと思って高卒認定も取ったのですが、そのときもう24歳だったのでほんの少しだけ考えていた進学も、余裕がなくてやめました。ハローワーク経由でプログラマーの仕事に就いたのですが、人間関係がネックで・・・。

新聞配達やプログラマーの仕事をされてきて、うまくいかない時期もたくさんあったとのことですが、Kさんにとって働くことで大変な部分はどんなところですか?朝刊を配るための早起きとか?

起きるとか寝るとか、自分の管理は割と得意な方ですね。当時は、19時に寝て3時に起きるのも3年できていましたし。それよりも人間関係の方がうまくいかなくて。わたしは人の表情から、何を考えているのか読み取ることができなくて。「相手もこう思っているんだな」と思い込んで、(本当にそうか)確認をせず思い込みを確定させてしまって、「相手はこうだからこう行動しよう」と決めてしまうんです。そうすると悪い方向に進んでしまう。相手の問いに対して的外れな返答をしてしまうこともけっこうありました。

相手はそういうつもりじゃなかったのに、となりそうですね。気を付けていることはあるんですか?

あります。一つは、細かいことは気にしないこと。自分は自分、他人は他人という考えを持つこと。あと、悪いことがあったときに、物事を根本から考えて、(どうしてそういうことが起きたか)順序だてて考えて行って、発端は自分にある、と考えるようにしています。

それで、(例えば仕事がうまくいかずに)自分のスキルが通用しないとか、力が足りないとなったら、逃げるのもありだと全然思ってます。仕事を辞めるのはアリ。そのためにも(仕事を続けられている)今は貯金もしてますね。

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両親の離婚やその後の生活は、家の環境もかなり悪く、波を一人で乗り越えられてきたように感じたのですが、なぜ乗り越えられたのですか?何か理由みたいなものはありますか?

ありますね。小学6年のとき、インターネットにはまり始めたんですね。そこで、自分の家庭環境以外のことを知ったんです。外の世界というか。そこから、身近な人の言うことを信じなくなりました。インターネットで言われていることを信じるようになって。よくないことかもしれないですけど、自分としては納得できるものもあって。なので、身近な人の意見とインターネットでの意見の中で、自分が信じたいものを信じようと思うようになりました。

例えば、親が言ったことは必ずしも正しいわけではないと気づいたり、そこから自分の周りの人の話を“おかしい”と思ったら「おかしい」と言えるようになった。

あと、環境って自分にとってすごく大きい影響があると思っていて。悪い環境だと悪い自分になってしまう。なので、外の情報を知って、何が悪いのかを確定させて、自分の考えを変えていくのが大事だと思っています。

子どものころって、悪い環境から逃げるのが難しいんですね。私がそうでした。そうするとどんどん悪い方向に行ってしまって、言葉もそうですし、物に当たったりもしていました。自分では止められなかったですね。

「イヤホンジャックをさしてエレキギターの練習をすることもあります」とKさん

リンクサポートもインターネットから見つけられたとのことですが、就職活動を始めてみてどうでしたか?

うーん。就職するのは大変だなと思いましたね。一度だけ(応募を希望している)会社に見学に行ったんですが、自分としては下見にも行って。でも結論をいうと受からなかった。いい経験ではあったけど結構大変というのはありますね。

その後、IT系の仕事にしたのは、自分にできることは何だろうと考えて、妥協もありますけど、先のことも考えて無難かなと思ったからです。

(今の勤め先である)その会社に行くときは、リンクサポートでプロフィールシートを一緒に考えてもらったり、担当の方にまとめてもらったりしたのはとても助かりました。一人では難しかったかなと思う部分ですね。

実習を経て就職されていますが、「社会的な常識」や「普通」を気にされているとのこと。どういったところですか?

電話対応とか、“このタイミングではこうするのが普通だよね”ということができなかったりするところですね。例えば、あるプロジェクトに参加することが決まったら、関連することを自分で調べておく、とか。指摘されたこともあります。

でもその“普通”は人による部分もあるし、派遣先の現場によっても違う部分もあって難しいです。だから、(他人から指摘されたことが)「世間的に普通なのか」(もしくはその人ならでは、派遣先ならではの普通なのか)よく考えます。(普通はこうするんだよと)指摘されたら、即それが(絶対的な)“普通”とは今は思わないです。

“普通”について考えてきたのはどうして?

それは、身内が普通ではなかったからですね。両親の影響が大きいです。普通になりたいと思ってきましたが、普通の人ってどういう人なの?というと実はあんまりいないんですよね(笑)。だから普通じゃなきゃいけないというのは強くないです。ややこしくてすみません(笑)。

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タスク管理で多用するスマホのメモ帳

現在は栄付近のオフィスで、システムの運用保守の仕事をされていますが、続けるうえで気を付けていることはありますか?

ありますね。情報過多にならないようにしています。仕事のこともプライベートなことも、スマホのメモ帳にタスク管理をしていて、タスクを残さないようにしています。Amazonの荷物を受け取るというタスクが残っていたり、Youtubeのアカウントパスワードの変更などが残っていたりするとすごく気になるんですが、今はないので何が起きても大丈夫です(笑)。今の仕事も、タスクとして残りにくいものなのでいいのかもしれません。

今後のことで考えていることはありますか?

お昼をどうしようかと迷っていて。今は毎日、週5で吉野家の定食を食べているんですが、それが900円なので、すごい金額になってるんです。家では、朝と夜、冷凍弁当を(通販で)頼んでいて、それは一食499円。いろんなものを食べると健康にいいよね、という考えでそうなってるんですが、食費を抑えるにはどうしたらいいのかな、と。

自分で作ろうという気持ちは?

ないですね。昔自炊していたときは、味噌汁ばかりで偏って健康によくないし、買い物に行く時間、何を買おうか考える時間、作る時間、余ったものを保存する時間とか考えると買った方がいいってなります。お昼ご飯はどうにかできるといいなと思います。

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